企業間取引において、契約書は欠かせません。その種類や役割について把握しておくことが重要です。この記事では、企業間取引で頻繁に使用される各契約書の特徴と注意点を解説します。確実で不安のないビジネスを進めるためにも、正確な情報を得て、信頼性の高い契約を結んでおきましょう。
ビジネスの場でよくある契約書一覧
企業間の取引において、日常的に取り交わされるのが契約書です。新しい会社とビジネスを始める際、口頭での取り決めだけではトラブルが生じる可能性が高まります。ここでは、企業間でよく締結される契約書の一覧とそれぞれの特徴を見ていきましょう。
売買契約書
商品やサービスの企業間売買に使用される契約書です。商品の不良品や支払い遅延に備える内容などが記載されています。
賃貸借契約書
物件の使用に関する契約で、不動産物件などでよく見られます。借主と貸主の権利と義務が定められ、契約期間が通常の売買契約とは異なり、比較的長期にわたるのが特徴です。
請負契約書
仕事の完成を目的とする契約です。請負者が、成果物の品質に責任をもつ契約であり、成果に対して報酬が支払われます。よって、契約書内で仕事の内容を明確に定義しておく必要があります。
委任契約書
仕事を依頼する側と受ける側で結ばれる契約で、業務のプロセスに焦点を当てた内容なのが特徴です。請負契約では仕事の結果に責任が発生するのに対し、委任契約ではプロセスに対しての責任が問われます。
秘密保持契約書
企業秘密の保護を目的とし、外部への秘密情報の開示や使用を制限する契約です。取引前に締結され、特許権などを保護します。
雇用契約書
雇用主と従業員間で結ばれる契約で、労働に対する報酬と権利・義務が規定されます。法的には必須ではありませんが、トラブル回避のために作成しておくのがおすすめです。
労働者派遣契約書
派遣会社と派遣先の企業間で結ばれ、労働者を派遣する内容を定めている契約です。2021年の法改正で電子化が解禁され、手間や管理コストの削減が期待されています。
保証契約書
支払い債務者が支払いを行わない場合、代わりに支払うことを保証する契約です。保証人は連帯保証契約が一般的で、2020年の民法改正で関連規定が改正されました。
ライセンス契約書
知的財産の利用を許諾する契約で、特許権や著作権、商標権などが対象です。ライセンスの範囲や料金、義務が契約書に明記されます。
【シーン別】作成・サイン・法改正の際の注意点
契約書は、作成方法やサインの仕方、法改正に対応しているかがとても重要です。契約書にまつわる、注意すべきポイントについて見ていきましょう。
明確に記載する
契約書の作成においては、あいまいな表現を避けることが重要です。あいまいな表現は、解釈のズレを生じさせ、のちのトラブルに発展しかねません。
あらかじめ作成しておいたテンプレートを流用する場合でも、具体的で明確な内容に修正し、抜け漏れがないか注意しましょう。作成後は、当事者間でも内容を確認しておかなければなりません。
署名時はよく確認する
契約書に署名する際は、内容を丹念に確認することが大切です。契約内容を入念に確認せず、不利な契約書にサインすると、くつがえすことは非常に難しくなります。
自分たちにとって一方的に不利な契約になっていないか、トラブルを想定して作成されているかなどのリスクを考慮し、契約書をよく確認したうえでサインしましょう。
法に基づいているか
法律は定期的に改正されるので、契約書を作成する際には最新の法律に基づいているかの確認が必要です。たとえば、2020年4月1日からの民法改正では、買主が引き渡された物が契約に適合していない場合、売主に修補や代替物の引渡しを請求できるようになりました。
買主は、引き渡された物が契約に適合していないことを知った場合、売主に通知する期限が1年以内に短縮されています。契約書を作成する際には、これらの法改正を踏まえた内容に修正することが求められます。最新の法改正を把握せずに契約書を作成すると、後にトラブルの原因となりかねません。
ビジネスシーンで契約書を取り交わす際は、つねに法改正の動向に敏感になり、適切な契約書を作成するようにしましょう。当然ながら、相手が作成した契約書が、法律に基づいたものであるかの確認も必要です。
契約書の役割を正しく理解しておこう
契約書は、ビジネス取引において極めて重要な役割を果たします。取引の際、口頭での約束や合意だけではなく、書面による契約書の作成が求められるのには理由があります。
極論すると、企業間のビジネスは口約束だけでも取引が可能です。しかし、この状態では、のちに言った、言わないといった問題が発生し、トラブルの温床となる可能性が高まります。
そのため、未然にトラブルを回避し、ビジネスパートナーシップを確実に築くためには、契約の内容を書面で取り交わすことが一般的とされています。契約書が果たす最大の役割は、責任の所在を明確にすることによる、拘束力の確立です。
契約書は当事者間の取り決めが明確に記載されており、取引における条件や各当事者の義務を具体的に規定したものです。商品やサービスの提供条件、支払いスケジュール、契約期間などが詳細に記載され、紛争や誤解を未然に防いでくれます。
これにより、契約締結時の当事者に、法的な拘束力を与えます。仮に契約書に従わなかった場合には、ケースによっては裁判にまで発展し、法的に罰せられるでしょう。契約書は、それほどの効力をもつものです。その役割を十分に理解し、慎重に取り扱いましょう。相手の契約書に対し、よく確認せずに署名してはなりません。
まとめ
企業取引においてよく用いられる契約書の種類と、その内容、注意点などを解説してきました。企業間取引において、契約書は不可欠なツールです。正しく使用することで、各契約書のさまざまな効力により、企業同士の円滑な取引に貢献してくれるでしょう。取引時の信頼性向上とトラブル回避のために、契約書の理解を深め、適切な活用を心掛けましょう。
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