会社を設立すれば、必ず毎年一回は株主総会を開催する必要があります。本記事では株主総会を開催するときに必要となる「株主総会議事録」について解説します。株主総会議事録は株主総会を開催する際には必須となりますので、ここで確認しておきましょう。記事後半では近年増えてきているバーチャル株主総会についても取り扱っています。
株主総会議事録は必要?作成の必要性とは
株主総会議事録とはどんなものか、作成の必要性はあるのか、ここで解説します。
株主総会議事録とは
株主総会終了後、いつでも総会の内容を確認できるようにするため、株主総会では書面または電磁的記録によって議事録を作成します。
議事録作成は、後日内容を確認できるようにする目的と、総会終了後に「言った・言ってない」のトラブルを回避する目的があります。ここで重要なことは「誰がどのような意思表示をし、意思決定をしたのか」です。
これを記録していない議事録は、後日内容を確認してもトラブルを回避するのが難しくなります。
株主総会議事録の作成は必須?
株主総会議事録の作成は会社法第318条第1項によって義務付けられています。また作成した議事録については、10年間は保存しなければなりません。議事録の作成をしなかった場合には、取締役は100万円以下の過料に処される場合があります。
議事録の作成期限について
株主総会議事録の作成に関する日数は、法律では定められていません。しかし登記事項の変更は株主総会から2週間後となっているので、作成し確認することを考えると1週間程度で作成する企業が多いようです。
株主総会議事録に記載すべき項目と注意点
ここでは株主総会議事録に記載すべき項目について解説します。
記録事項
記録事項は会社法施行規則72条3項より定められています。項目は以下の通りです。
・株主総会が開催された日及び時間、場所
・株主総会の議事の経過の要領及びその結果
・株主総会において述べられた意見または発言の内容
・株主総会に出席した取締役、執行役、会計参与、監査役または会計監査人の氏名または名称
・議長の指名
・議事録作成者の取締役氏名
出席者の注意事項
株主総会議事録に記載する出席役員とは株主総会の開催に役員として権限のある者のみとなっています。ただし次のような条件があります。
「任期満了:前任者を記載、後任者は未記載」
「総会前に辞任し、総会時に後任者が就任した場合:前任者は未記載、後任者を記載」
「総会後に辞任及び就任した場合:前任者、後任者ともに記載」
「解任:前任者および後任者を記載」
日時の注意事項
開催場所は、場所の住所と建物の名前、開催された部屋などを明記する必要があります。また過去に開催した場所から、とても離れた場所で会議が行われた場合には、場所を変更した理由も議事録に記載する必要があります。
株主総会議事録の作成で注意すべき特例
株主総会議事録には、特例ケースもあります。ここでは書面決議や押印の有無、バーチャル株主総会などを解説します。
書面決議
書面決議とは、議決権を行使できる株主全員が株主総会の決議事項について、書面または電磁記録によって同意することにより、株主総会決議があったとみなす手続きのことです。
ただし取締役または株主が提案した内容について、株主全員の同意が必要であるため、株主が多い企業は難しいといえます。
・書面決議の議事録記載事項
書面会議で記載する内容は株主総会の決議があったものとみなした事項の内容と、事項を提案した人の名前と名称、株主総会の決議があったものとみなした日付、議事録作成者の取締役氏名の4つが必要です。
押印の有無
株主総会議事録には基本的に押印は不要です。ただ、押印には、作成者の意思に基づいて作成されたとみなす力があるため、不要であっても押印されているケースが多くあります。
・押印が必要な場合
基本的には不要でも押印が必要な場合があります。
1つ目は定款で定めている場合です。定款とは会社組織と運営規則を定めたものです。そのため議事録の押印について必須と取り決めている場合には、押印が必要となります。
2つ目は取締役会非設置会社の代表取締役選定の場合です。取締役会がない株式会社の場合には、取締役が代表であるため、代表者を選定する必要がありません。ただ、代表取締役選定の決議をした際には、議長及び出席取締役全員の押印が必要になります。
バーチャル株主総会
バーチャル株主総会とは、その名の通りインターネットを用いて、遠隔から参加できる株主総会のことです。2020年のコロナウイルスをきっかけに導入された制度です。
バーチャル株主総会には会場を選択できるハイブリッド型と、全参加者がオンラインであるオンリー型があります。またハイブリッド型では議決権がない「参加型」と議決権行使を伴う「出席型」の2つがあります。
・記載する必要があるのは出席型
バーチャル株主総会を開催した際、会場にいなくとも出席扱いとなっている株主や役員は、出席方法を記載しなければなりません。そのため、決議権を行使しない参加型の場合には記載は不要です。
まとめ
本記事では株主総会後に必要となる「株主総会議事録」についてお伝えしました。議事録は、株主総会の内容を保存するために必要な資料です。そのため総会後に見直して内容が分かるようしっかりとまとめておく必要があります。今回紹介したような特殊な事例であっても、記載漏れがあると後々トラブルになるケースがあります。この記事を確認して記載漏れの無いようにしてください。
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