
ビジネスにおいては、さまざまな契約書が結ばれます。契約書の役割は、企業同士の取り決めや約束事を書面に残すことです。契約書を通さず口約束で業務を進めてしまうと「いった・いってない」の水掛け論になることもしばしばあります。本記事では、企業間取引でよく使われる契約書の種類について詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。
企業同士の取引で用いられる契約書の種類
企業間取引において契約書は、取引の内容や当事者の権利・義務を明確にする重要な文書です。ビジネスシーンでとくによく使われる契約書には、売買契約書、賃貸借契約書、請負契約書、委任契約書、秘密保持契約書(NDA)、雇用契約書、派遣契約書、保証契約書、ライセンス契約書の9種類があります。以下に、それぞれの特徴を紹介します。
売買契約書
売買契約書は、モノやサービスの売買に関する契約です。契約が成立すると、売主には財産権を移転する義務、買主には代金支払い義務が発生します。取引条件や不良品対応を明記することで、トラブルを未然に防げます。
賃貸契約書
賃貸借契約書は、貸主が特定の物を一定期間貸し出し、借主が使用することを約束する契約です。借主には賃料支払い義務が、貸主には使用させる義務と修繕義務が発生します。不動産の賃貸借が代表例です。
請負契約書
請負契約書は、仕事の完成を目的とする契約で、請負者は成果物の完成責任を負います。発注者は、仕事の成果に対して報酬を支払い、ミスがあれば請負者に修正や損害賠償を求めることができます。
委任契約書
委任契約書は、業務の処理を目的とした契約で、受任者は業務の遂行義務を負います。請負契約と異なり、成果ではなくプロセスに責任が生じます。
秘密保持契約書(NDA)
秘密保持契約書(NDA)は、自社の機密情報を開示する際に、その情報の無断使用や第三者開示を禁止する契約です。対象情報、使用範囲、期間、返還方法などを定めることで、企業の競争力を守ります。
雇用契約書
雇用契約書は、労働者が労働を提供し、使用者が報酬を支払う契約です。作成義務はないものの、トラブル防止のために明文化することが望ましいです。
労働者派遣契約書
労働者派遣契約書は、派遣会社と派遣先企業の間で交わされる契約で、派遣労働者の業務内容や責任範囲を定めます。2021年の法改正で、電子契約が可能になりました。
保証契約書
保証契約書は、主債務者が支払いを行わない場合に、保証人が代わりに支払うことを定める契約です。とくに連帯保証契約では、保証人の責任が大きくなります。
ライセンス契約書
ライセンス契約書は、特許権や著作権などの知的財産権の使用を許諾する契約です。利用範囲やライセンス料、義務などを明確に定めることで、知財の適正利用を確保します。
契約書に関する注意ポイント
契約書を作成・締結する際には、いくつかの重要なポイントに注意しなければいけません。曖昧な表現を避け、契約の実態に即した内容にすることが、トラブルを防ぐために不可欠です。また、契約締結後の責任や義務について十分に理解した上でサインをすることが求められます。さらに、法改正が行われた場合には、契約書の内容が最新の法律に準拠しているか確認することも重要です。
契約書作成時の注意点
契約書を作成する際には、曖昧な表現をなくし、取引内容を具体的かつ明確に記載することが求められます。一般的な雛形を利用する場合でも、そのまま流用するのではなく、自社の取引実態に適した内容に修正することが重要です。契約内容に抜け漏れがないか確認し、作成後は当事者間で必ず内容を精査しましょう。
契約書にサインする際の注意点
契約書を締結する際には、慎重に内容を確認することが不可欠です。一度サインすると、その内容を覆すことは難しいため、不利な条件が含まれていないか入念にチェックする必要があります。とくに、自社にとって一方的に不利な内容がないか、取引の実態が正しく反映されているか、トラブル発生時の対応が明記されているかといった点に注意しましょう。
契約内容に不備があると、万が一訴訟に発展した際に大きなコストが発生する可能性があります。そのため、契約締結前にリスクを十分に理解し、慎重に判断しましょう。
法改正にともなう注意点
法律は時代に応じて改正されるため、契約書の作成時には最新の法改正内容を確認することが重要です。たとえば、2020年4月1日には、売買契約や消費貸借、定型約款に関する民法のルールが改正されました。この改正では、売買契約において買主が受け取ったものが契約内容と異なる場合の売主の責任が見直されています。
さらに、売買契約だけでなく、賃貸借契約や請負契約などほかの有償契約についても、同様のルールが適用されます。これらの法改正を把握せずに契約書を作成すると、後にトラブルを引き起こすかもしれません。そのため、契約書を作成する際には、最新の法改正を確認して適切な内容に更新することが求められます。
上記で紹介したような契約書に関する懸念事項がある場合は、契約書作成代行サービスを利用するのもひとつの手です。契約書作成代行は、契約書に関するノウハウ・知識を多く蓄積しているので、トラブルのない契約締結に一役買ってくれることでしょう。
まとめ
ビジネスにおいて契約書は、企業間の取引内容や権利・義務を明確にし、トラブルを未然に防ぐ重要な役割を担います。本記事では、売買契約書や賃貸借契約書、請負契約書、秘密保持契約書(NDA)など、企業取引で頻繁に使われる9種類の契約書について詳しく解説しました。それぞれの契約には異なる目的と特徴があり、適切に作成・締結することが求められます。契約書を作成する際は、曖昧な表現を避け、取引の実態に即した内容にすることが不可欠です。また、法改正が行われるたびに内容を更新し、最新のルールに適合しているか確認することも大切です。契約書に関する懸念がある場合は、専門家のサポートを受けるのも有効な手段でしょう。
- 年間実績1000件以上の安心サービス
-
行政書士川崎事務所
引用元:https://contract-gyouseisyoshi.com/行政書士川崎事務所は、年間実績1000件以上を誇る契約書作成代行サービスを展開しています。
- 法務担当がいないため、契約書作成のリソースが足りない
- 契約書の作成は専門知識のある人に任せたい
- 自分で作った契約書に不備がないか心配
社内でこのようなお悩みを抱えている部署のご担当様は、ぜひ一度相談してみてください。